第13章 ヴィラン連合軍
「…お久しぶりです、先生」
私がお辞儀をすると、ヒラヒラと手を振る先生。
「災難だったね。まったく、あの子の執着にも困ったものだ。少しでもマシになるかと、君を雄英にやったのだが…逆効果だったようだね」
私は何故か自分が責められているような気がし、視線を逸らした。いや、絶対に私は悪くないけどさ!! あいつが私を殺したいのなんて、今更だし…
「君の働きは十分すぎるものだった。内部情報を密告し、また君のおかげでスポンサーも倍に膨れ上がった。新戸カンパニーは特に脳無開発に、大いに協力してくれてね」
私の額に汗が滲む。何故私は呼び出されたのか…まさか…用無しとか言わないよね。止めてよほんと…。相変わらず、読めない先生の表情を伺うが何もわからない。だから、余計焦る。
「そこで、だ。君には戻って貰おうと思ってね。今回、呼び出したんだ」
「っ!!」
やはり、か。私は唇をぎゅっと噤む。脳無の開発も滞りなく進んでいると聞くし、ヒーロー殺しに感化された力ある仲間も増えた。今回の件で、雄英の信頼をガタ落ちさせることにも成功した。よって、これ以上雄英に執着する理由がない。…私が雄英に潜入する意味もないのだ。
「……そうですか…」
「おや、驚かないのかい?」
先生は椅子から立ち上がり、私に向かって歩き出す。…この間まで立つこともままならなかったのに、歩けるようになったのかとぼんやりと思った。そんな私の頭を先生は撫でた。
「君は本当に優秀な生徒だよ、夜蝶。夢に溢れ、その力もある。自慢の生徒だ」
「…ありがとうございます」
先生が触れた先から、嫌悪感が全身を支配する。私は出会った時から、本当にこの人が苦手なのだと思い知る。この人がこういうことをする時、何かある。予想通り、先生は私に顔を近づけて小声で話した。
「だから、君が八木俊典という男に執着しているのは非常に残念なんだよ」