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松の間

第5章 出逢えた*カラ松


あれから毎日公園に来るが、スイートには会えない
近辺に住んでる訳ではないのだろうか

今日も諦め半分で公園に来る
日曜だし、まだ可能性は有るだろう
ボールがぶつかった辺りに立つと後ろから声をかけられた

「あの…」

振り向くと其所には件の女性

カ「また会ったな、マイ スイート!!」

「スイ…?あれから何とも無いですか?」

カ「ふ、心配してくれるのか?優しいんだな」

何ともないと笑ってみせると、彼女も笑って「良かった」と言う
やはり笑顔も可憐だ
ずっと見ていたくなる

カ「君に会ったら渡そうと思ってな。どこの誰かも分からないし、ここで待っていたんだ」

言いながら綺麗にラッピングされた小さな箱を差し出す
目線を俺の顔と箱とを何度か行き来させ、おずおずと受け取る

「開けても良いですか?」

カ「あぁ、構わないぞ」

白くて華奢な指が、丁寧にリボンをほどいていく
そんな仕草でさえ俺の目を捕らえて離さなくさせる

「ハンカチですか?」

カ「汚してしまったからな」

「そんな、気にしなくて良かったのに…でもありがとうございます」

フワリと微笑まれ、トクンと胸がなる
一目惚れとは本当にあるんだな

カ「良ければ名前を教えてくれないか?」

「彩一之瀬です」

カ「俺は松野カラ松だ、よろしく」

手を差し出せば、遠慮がちに握られる
力を入れたら折れて仕舞いそうだ
そんな彼女を守りたい
自分を選んでもらえるかも分からないのに、そう思ってしまった
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