第9章 松野班 ~another story~

　帰りのHRが終わり、松野ちゃんと女の子が話をしていた。それに俺は、

「なになに、もう仲良くなった感じ？」

とニヤニヤしながら話しかけた。

「まあ……」

と松野ちゃんが曖昧な答えを返すと、

「まあこれから仲良くなりゃいんじゃね」

と俺は言った。

「あの……松野さん」

「「なに？」」

　女の子さんが“松野さん”と呼びかけると同時に2人の松野が反応した。

「あっ、ごめんなさい……私は女の子の方の松野さんに声をかけたの。それでなんだけど……今日って一緒に帰れないかな？」

　俺は、

「なーんだ」

と落ち込んだ。

「本当にごめんね。せっかく同じ女子で班になったからどうしてもお話したくて……」

　女の子さんは困った顔で俺の方を向く。

「そっか……まあいいや。せっかくならガールズトークしてきなよ。じゃあ俺は男の子と帰るから……ってあいつどこ？」

　俺は見渡すが男の子くんの姿が見当たらない。

「もしかして部活行ったんじゃない？」

　松野ちゃんがそう言ってくれると、

「あっ、そうかも……じゃっ、俺もそっち行こ。てことでまたなー！」

と俺は言うと元気よく教室から出た。