第8章 夏の始まりと合宿と…
夕食後の稽古を終えて風呂を上がれば、合宿最後の夜ともあって、部屋では部員達が騒がしい。
定番とも言えようか・・・男が集まって布団がひいてあれば、誰ともなく枕投げが始まる。
土方先生の怒鳴る声が合宿所に響き渡るのも時間の問題だと思うのだが・・・
本来なら止めるべき立場のはずの左之先生と新八先生までもが参加をしていた。
「うわっしんぱっつぁん!大人げねーよ!」
「うるせー平助!これでもくらえっ」
「うわっ」
俺の目の前に、新八先生から思いきり枕を投げられた平助が転がってきた。
「なにこれ!!本気枕投げ?楽しそうっ」
その声に振り返れば、目を輝かせてる苗字の姿。
苗字の横には、驚いた顔をしている雪村がいて、そのまた後ろには部屋の様子を覗いている夢主(姉)の姿が見えた。
「おっ、来たな~!お前らも混ざるか?」
新八先生のその言葉に、
「いいの?やるやる!」
「わ、私もですか?」
「え~…痛そうだからやだ…」
三人共、いかにもそれぞれらしいことを言った。
俺はそれに少し笑ってしまう。
雪村が、苗字のように、この枕投げに意気揚々と参加表明していたら、それもそれで面白いものが見れそうだが、彼女らしい受け答えに少し安心をした。
「夢主(妹)ちゃん、僕と組もうよ。大丈夫、夢主(妹)ちゃんには当てさせないよ。」
部長がそう言うと、今までチーム分けなどされていなかったこの枕投げ大会に、ぽつりぽつりとチームが出来た。
「おい、夢主(姉)。お前も投げてみろよ?結構楽しいぜ?」
左之先生がそう言うと、
「え…やだ」
と、文句を言いながらも、夢主(姉)は左之先生の側まで寄って行く。