第8章 夏の始まりと合宿と…
「腹減ったなー」
他の部員達が昼飯の話をする中、少し前を歩く夢主(妹)をぼーっと見る。
夢主(妹)の隣には総司先輩。
楽しそうに話してるな…なんて思って見てると、ん?赤くなった。
何かに照れて俯きながら赤くなった夢主(妹)に胸のあたりがズキッとした。
なんだよさっきから。
腹は減ってるはずなのに、大好きな牛丼なはずなのに、全然食う気がおこらねぇ。
「藤堂君大丈夫?」
どんぶりをじーっと見つめたままだった俺の目の前に、頬杖をついた夢主(姉)先輩がいる。
「っ!!!」
驚いて我に返れば、
ぐーぎゅるぎゅるぎゅる
腹が先に限界を迎えた。
にこりと笑って、
「いっぱいおかわりしてね?」
と去っていく夢主(姉)先輩は、異星人みたいにかわいかったけど、さっきの心臓のかんじとは違った。
なんだかわからねぇ胸の痛みに、俺病気なのか?とか考える。
あーもーなんなんだよ!
とりあえず腹ごしらえだ!!
目の前の美味そうな牛丼をかきこんで、盛大にむせた俺は、土方先生に怒鳴られたけど、さっき感じたズキッとした痛さに比べたら痒くもなかった。
なんかの病気かもしれねえけど、玉翔旗は俺が伝説を作るぜ!!
それまで病気で死にたくねえからな!
まだ少し痛む胸を押さえて、いるかいねえかわからねえ神様に、
「俺はまだ死にません」
と、宣言した。