第8章 夏の始まりと合宿と…
今朝は転んだ上に、赤チンを先生達に笑われて、なんだか散々だった。
転んで擦りむいた膝には、青いあざまであって、なんだかヒリヒリズキズキ痛い。
その痛みのせいで、ほんの少しだけ歩き方がおかしくなった私を、沖田先輩が物凄く心配してくれて、お稽古のメニューを軽くしてくれた。
さらには、
「夕飯後の稽古まで、休んでなよ。」
なんて言ってくれちゃったものだから、千鶴とお姉ちゃんのお手伝いでもしようと思って、私はキッチンへ向かう。
キッチンへ向かうと、千鶴が入口に居た。
「千鶴~!お手伝いさせてっ」
声をかけると、千鶴はなんだかビクっと肩を強張らせて、驚いたように振り向いた。
「あ、夢主(妹)ちゃん!」
キッチンに入ろうとする私の腕を掴んで止める。
「どうしたの?中に入らないの?」
そう言うと、顔を真っ赤にしながら、キッチンの方に目を向けた。
その目線に沿って、キッチンを見ると…
お姉ちゃんに後ろから抱きついてる原田先生が………!
「ちょっ!!!」
思わず声をあげてしまいそうになって、千鶴にとめられる。
これは千鶴が中に入らないはずだ。
耳を澄ませば、なにやら会話が聞こえてきた。