第8章 夏の始まりと合宿と…
「やったー!カレーじゃん!合宿ってかんじするなー!うめぇ!千鶴っうめえよこれ!」
「平助!静かに食え!」
平助君達が騒いで、土方先生の怒鳴り声が聞こえて…
なんだか賑やかでとっても楽しい。
ちらりと斎藤先輩を見れば、食事中でも姿勢がとてもよくて…
斎藤先輩はいつでも綺麗だな…なんて見とれてしまう。
そんな斎藤先輩と目が合ってしまって、慌てて逸らす。
「あ…皆さん、まだありますので、おかわりなさってくださいね?」
合宿はまだまだはじまったばかり。
「余るくらい作って正解だったね。」
おかわりをよそる夢主(姉)先輩と、「みんな食べすぎ…」ってくすくす笑いながら、夕ごはんの時間が過ぎて行った。
洗い物も終えて、お洗濯をした皆さんのバスタオルを干し終えると、夢主(姉)先輩はどこかへ行ってしまったから、ふぅ、と一人で一息ついてみる。
空を見上げれば、星が沢山見えた。
「ここは星が良く見えるな。」
いつの間にか、隣に斎藤先輩がいて、同じように空を見上げている。
「きれいですね。」
それからしばらく私達は空を見上げていた。
明日もこうやって、一緒に星を見れたらいいな…なんて思って、ちらりと斎藤先輩の方を覗く。
斎藤先輩も私を見ていて、うっかり目が合ってしまった。
慌てて逸らせば、くすくすと笑う斎藤先輩。
「空が広い」
斎藤先輩の、静かな低い声が聞こえる。
「明日も見えるとよいな。」
そんな斎藤先輩の呟きに、
「…きっと見えます!」
と、応えた。
きっと明日も斎藤先輩はここへ来てくれるような気がする。
約束をしたわけでもないのに、なんだか二人で会う約束をしてしまったような感覚になってしまって…どきどきしてしまった。
合宿はまだはじまったばかり。
明日も楽しい一日が待っていますように。