第26章 告
「こっちおいで」
ソファに座って、手招いて。
その隣を勧める。
同じソファーに向かい合って。
両腕を広げてみた。
「朱里ちゃんの特等席」
言い終える前に、ポフッと音がして。
俺の胸に、頬を寄せる。
「一番、好きな場所」
そう言って、身体を預けた。
「坂田さん」
「ん?」
「大好き……」
「うん」
何、この可愛い生物。
そんな可愛いのに、今まで誰も何もしなかったって。
真選組の奴らって、大丈夫なの?
俺が心配することじゃねーけど。
アイツら、おかしくね?
「朱里ちゃん」
「ん……」
って、朱里ちゃん?
何で俺に抱きつくと、途端に寝ちゃうの?
そんなに抱き心地いい?
結構、堅いと思うんだけど?
寝にくいと思うんだけど?
「朱里ちゃんにとって、適温か?」
人肌って、心地いいもんな。
況してや、特等席。
二人きりだし、遠慮はいらねェ。
俺は少し、身体を移動させて。
着物を脱いで、それをそのまま朱里ちゃんの身体に掛ける。
暫く寝顔を堪能して。
身動きできない状況を楽しんで。
更に身体を移動させて。
寝やすいように、膝を貸してやる。
「銀さんの膝枕、堅くて御免ね」
乱れた髪を整えて、撫でてみる。
表情が緩んでから、腰に回される腕。
がっちりホールドされてっけど。
どこも行かないし、起きるまで傍に居るから。
否応なしの無条件で。
俺にだけは、とことん甘えていいよ。
応えるだけの包容力。
兼ね備えてる、はずだから。