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【薄桜鬼 トリップ】さくら玉

第4章 興味と疑心と大義名分


夕餉後、再び幹部達が広間に集められた。

「再び集まってもらったのは他でもない。雪村君、夢主(姉)君、夢主(妹)君の三人の処遇を決するためだ。」

近藤が話し出す。

「見解を言えば…雪村君には綱道さん探しを手伝ってもらうという大義名分がある。娘さんであるし、正式な新選組預かりとして保護することで問題ないだろう。」

千鶴の処遇に関して言えば、問題なく全員納得している様子である。

「夢主(姉)君、夢主(妹)君姉妹に関しても、悪いようにはしないでおきたいところだが・・・」

「隊の秘密が全て露見してしまったわけではなさそうですが、今更全面解放というわけにもいかないでしょう。」

近藤の言葉を遮るように、山南が発言した。

「姉貴の方は知らねーけどよー。妹の方は今朝みた通りだ。保護っつーか、隊士として扱っちまえばいいんじゃねーのか?まあ女だけどよ、その辺の平隊士より断然強いぜ?」

永倉が前に出る。

「それは俺もさんせー。女っつっても袴着てりゃわかんねぇし。」

藤堂も永倉の意見に乗り気だ。

「ただ、彼女は女性です。いくら腕が立つと言っても、平隊士として扱うには無理があると思いますよ。」

山南はそう言うと伺うように土方を見やる。

土方は腕を組んで目を閉じたまま、何か考え込んでいるようだ。

「僕は夢主(妹)ちゃんはここに置いてほしいな。あの子おもしろいもの。土方さんもそう思ってるんでしょ?」

沖田は挑むような笑顔を土方に向ける。

土方は眉間に皺を寄せたまま総司を睨み返した。

「そうだなあ。夢主(妹)くんはトシの小姓として働いてもらえばいいじゃないか!トシの側なら安心だし、いざとなった時も自分の身は自分で守れるだろう。邪魔にならないんじゃないか?」

近藤が名案を思いつたとばかりに身を乗り出した。

「当面はそれが良いでしょう。やはり男装してもらうことは変わりませんが…副長の意見はいかがですか?」

山南は近藤の意見に賛成のようだ。

山南の視線を受けても、土方は黙っている。

「土方さん、そんなに嫌なら僕が預かりますよ?」

沖田が笑顔で土方に詰め寄った。

「うるせえ。お前の側はだめだ。俺が引き取る。」

「ずるいなあ土方さんは・・・」

肩をすくめて沖田が引き下がった。
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