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【100プリ】瞳に映して

第3章 もっと…


部屋には二人きり。

「シド…」

アヤセは泣きそうな顔で
シドの名前を呼ぶ。

「ごめんね…私…」

そんなアヤセの言葉を遮るように
シドが口を開く。

「なぁ、それ食っていいのか?」

「えっ…う、うん…」

怒っていると思ったのに、
まったく違う言葉が返ってきて
アヤセはキョトンとする。


二人でソファに座り、
アヤセが料理のフタを取る。

シドはそれを見るとニヤリと笑う。

「なんだ、ルイまで噛んでんのかよ。」

「…わかる?」

「ああ…懐かしいな。」

シドはオムライスを見つめながら
昔のことを思い出してるようだった。

シドはスプーンですくうと
一口、口に頬張る。

その目はかつての
記憶を辿るかのような目だ。

アヤセはそんな目を横から見つめ、
自分にはわからない
恋人の過去に少しだけ触れられたようで
なんだかうれしかった。

「よくここまで再現出来たな。」

「よかった…喜んでもらえて…」

美味しいとか
そういう言葉はないけれど、
そんな言葉がなくとも
それはアヤセに伝わった。

「お前も食うか?」

「えっ…」

そう言えば今日は
オムライスを作ることに夢中で
あまり食事をしていなかった。

「じゃあ少しだけ…」

シドはスプーンですくうと
アヤセの口許に運んでくれた。

「ん…」

何度も味を見てきたけれど、
この一口が一番おいしかった。

「おいしい…」

そう言うとシドは
もう一口、口に運んでくれた。

「ん…てゆうか…」

アヤセはオムライスを飲み込み、続ける。

「シドの誕生日なのに…」

「ん?そうか…なら…ん。」

シドはそう言うとスプーンを渡してきた。

「えっ…あ、う、うん…」


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