第4章 はじめての気持ちとありがとう
ピザも食べ終え、また水路の側を歩いていく。
「そういやぁ…」
『?』
「お前ロッソは今の所大丈夫なのか…?」
『え!?なんでそのこと…』
「…まぁこの世界のお前とは付き合いは長ぇからなぁ…」
『この世界の私…そんなことまであなた達に話してるの…?』
「あぁ、ヴァリアーのやつらはみんな知ってる。小さい頃、捨てられたお前はたちの悪いマフィアに拾われ、ワクチンだのなんだのの実験台にされたってな…」
驚いた。
この世界の私はそんなにこの人達のことを…
小さい頃の記憶がフラッシュバックされる。
ニタニタ笑いながら近寄ってくる男の手には注射器が。そんなことが何回も繰り返された。
それからだった。
薬本来の影響なのか、副作用なのかはわからないけど、私は気持ちが高ぶったり、ショックなことがあると、爆発的に強くなり、自分が止められなくなる。
「ベルが血を見た時のようなもんだろ…?」
『…でも私は意識は飛ばさない…それに…』
右手で目に触れる。
「目が赤くなる、だろ?」
『うん…』
私はその状態のことをロッソと呼ぶ。
イタリア語で“赤”という意味だ。
『私、その状態になって何度か人を殺めたことがあるの…』
「…だから俺がファンを殺った時、泣いたり喚いたりしなかったってわけだな?」
『うん…』
「俺だってお前くらいの歳の時にはもう人を殺してた。」
『………なんでちょっと誇らしそうなのよ…』
ギロッと睨みつける。
するとギクッとしたスクが口を開いた。
「…お前は運命を恨んだ事はあるか?」
『え…?』
「俺達のようなマフィアと一般人。
生まれながらにして決まってるんだ。運命によってなぁ…」
『うん、そうだね…』
「だが俺は、この人生でよかったと思ってる。」
スクの方を見ると、迷いのない、真面目な顔をしていた。
「人を殺したり、騙したり…最悪なことばっかしてるが…この最悪な人生にも楽しい、嬉しいって思うこともいっぱいあんだ。だから俺は後悔なんてしねぇ。」
ニヤッと彼が笑った。
『変な理論。』
私もつられて笑った。