第1章 溶解度39.6℃【おそ松】
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「おそ松!? 何やって・・・?」
・・・え?
おそ松動かない!!
「おそ松っ、大丈夫!? しっかりして!」
慌てて駆け寄ったらやっと起き上がった。
でも、なんかぐったりしてる?
おそ松「よ。わりぃ、驚かせて・・・階段踏み外した」
へへっといつものように鼻の下を人差し指で擦りながら言う。
だけど、なんだか様子が変だ。
苦しそうに肩で息してるし、顔もなんとなく赤い気がする・・・
打ちどころ悪かったかな?
うつむいてて顔がよく見えない・・・
両手でそっとおそ松の顔を持ち上げてみた。
「あ、熱い!? おそ松、あんたすごい熱じゃない!」
おそ松「あ~らら、わかっちゃった?」
「わかるよ!こんなにふらふらだもん。こんな体でわざわざ出迎えに来るなんて、無茶しないで!!」
おそ松「大丈夫っ・・・寝たら、治る・・・て」
一生懸命笑顔で言ってるけど、無理がバレバレ。
ホント、強がりなんだから・・・
そこがいいとこでもあるんだけど、調子に乗るからここはあえて思っとくだけにしておこう。
そんなことより、おそ松を布団に寝かさなくちゃ。
「みんなどこに行ったの?」
おそ松「父さんと母さんは今日から一週間旅行。弟たちはそれぞれ用事で早くても明日の朝まで一人・・・はぁ、はぁ」
こんな時に限って誰もいないなんて・・・
ニートがそろいもそろって朝まで何の用なんだろう?
しかし、私ひとりじゃこんな状態のおそ松を二階の寝室まで連れていくのは無理だよね。
私は居間に布団を敷き、おそ松を寝かせた。
長年通っているので結構勝手は分かっている。
体温計と解熱剤を準備した。
ピピピピ!!
「え!?39.6℃!?」
おそ松「どおりで…」
「早く薬飲んで横になりなよ。おかゆなら食べれる?」
おそ松「お!作ってくれるの~」
こんな時に何にやにやしてんのよ。
「ほかに欲しいものある?」
おそ松「え、スルー? ま、いい、けど…アイス枕お願いできる?」
「おけ♪」
私はアイス枕を取りに行った。
おそ松、しんどそうだなぁ。
風邪をひいてるおそ松、何度も見てきたけどあそこまでぐったりしてるのは初めて見たな。
不謹慎だけど、新鮮っていうか…
かわいいかも…
ん?なんで私ドキドキしてんだろ?
母性本能でも目覚めたかな??