第1章 溶解度39.6℃【おそ松】
「さむーーーーーーい!!!」
季節は冬。
前方から北風が次からつぎへとに吹き付けてくる。
その風はの細い足を駆け上がりスカートの中へ。
めくれ上がりそうなスカートを必死で押さえるが、スカートがめくれ上がることは防げても風の侵入は防げない。
入ってきた風は容赦なくの無防備な太ももを冷やしてゆく。
寒さも限界に近づいたとき、ようやくお目当ての場所にたどり着いた。
そこは松野家。
松野家には家が近く、家族ぐるみの付き合いもあるためか幼い頃からよく来る。
今日はおそ松に借りたCDを返しに来る約束だった。
玄関に入り声をかける。
「おそ松ー、来たよー!」
・・・・・・・・・
だが、返事がない。
玄関は開いていたため誰かいると思うのだが。
寝ていて気付かないのだろうと思い、一応声をかけて上がることにした。
「私、だよ?入るね~?」
そう言いながら家の中に背を向け、靴を脱ごうとした時だった。
ドカッ! ドスドスドスーーーーーン!!
の心臓が飛び上がる。
音のした方を振り返る。
と、そこには赤いパーカーの彼がひっくり返っていた。