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未来のいと《ONE PIECE》

第11章 恋



「私ね、ゾロと付き合ってたって聞いたとき、すごくびっくりしたの」
唐突に話し始めたレナの口からゾロの名前が出た時、一瞬サンジの肩がピクリと動いた。

「だってゾロだよ?恋愛なんてしなさそうでしょ?」
「………」
サンジはレナの言葉を聞きながら、レナに背中を向け作業を続けた。

「ゾロの態度もよく分からないし、最初はなかなか受け入れられなかったの…だけどね、私、ゾロのこと…」
サンジは、次に続くであろう言葉を聞きたくなかった。
しかし目を背ける訳にはいかない。


「好きになれそうな気がするの…」

サンジは耳を塞ぎたかった。
今すぐキッチンから出て行きたかった。
本当なら自分に向けられていたはずの想い…それを壊したのは自分だ。

「………良かったね」

声を絞り出して発した、精一杯の言葉だった。
声はかすれ、震えていた。
それがレナに気づかれたかどうかはわからない。
サンジは相変わらず背を向けたままだった。
とてもじゃないが、レナの顔を見ることなどできなかった。

「皆には心配かけちゃったよね…けど…たぶんゾロとは上手くやっていけると思う…」

そう言うと、レナは立ち上がった。

「ホットミルクごちそうさま。それじゃあ私…戻るね」


レナはキッチンを後にした。






「…クソッ」
サンジは悪態をつきながら、バンッ、と作業台に拳を振り下ろした。
悔しさ、虚しさ、悲しみ…
負の感情がサンジの中でうごめいていた。

(応援しねェとと思ってたけど…他のヤツを好きなレナちゃんを目の当たりにすると……応援なんてできたもんじゃねェ……俺には無理だ)

背中を向けていても、先ほどのレナの幸せそうな様子は伝わっていた。
レナの幸せを応援しよう…そう思っていたはずなのに悔しくてたまらないのは、まだどこかでレナのことを諦められないからなのかもしれない。

あの日他の女を抱いてしまったことは、後悔してもしきれない。
サンジは何十回も、何百回も後悔し、その度にレナを抱きしめたときの温もりと感触を思い出すのだった。


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