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君が笑う、その時まで

第2章 君しか知らない物語


 上履きに履き替え、教室に向かう。
 その途中、部活勧誘のビラで埋め尽くされた掲示板を見つけた。
 ポスターを流して見ていく。手荒な勧誘を受けるよりはじっくりと吟味できるこの方が幾らかましだろう。

 そして、見つけた。

《来たれ、バスケットボール部。選手・マネージャー募集中!!見学自由。練習日は――》


 バスケ、ただその言葉に不意に胸の奥が疼いた。



 だが、所詮たった一瞬のこと。

「――ま。どうでもいいけど」
 
 私はそう独り言ち、教室へ向かった。きっとクラスメートの大半は勧誘の坩堝の中にあるだろう、とりあえずHRが始まるまで本を読むとするか、なんて思いながら。



 今日が入学式だから特別な思いを抱いているわけではない。
 むしろ入学式の日であろうと明日であろうと、いわゆる平凡な毎日を過ごす事以外何も望んではいないのだから。
 
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