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君が笑う、その時まで

第2章 君しか知らない物語


 校門をくぐると、急に前が詰まりだした。

 群がってくる先輩たち。
 各々手にはビラの束。
 
 訳が分からず呆然と立ちつくす生徒の前に次から次へと人が変わり、ビラだけが増えていく。

「……一体どんな学校なんだか」」


 私は隙間から隙間へと体をすべり込ませてようやく校舎の入り口にたどり着いた。

 その道すがら、声をかけられ貰ったビラは数枚しかない。

 周りを見れば、鞄からはみ出すくらいにビラをもらった人はざらにいる。私がどれだけましな方かは一目でわかる。

 貰ったビラを一枚、また一枚と流し読みしていく。


 囲碁部、文芸部、美術部、水泳部、陸上部、サッカー部、……。
 
 どのビラにも「初心者大歓迎」の文字が躍っている。

 しかし実際初心者を歓迎する部がどれほどあるのかは疑問だ。

 まして運動系の部活動であれば大会結果が全てであり、実力主義の世界だ。

 勝ちこそ全て。それはとても合理的で、残酷なシステム。

「だから嫌いなんだ……」

 
 結局もらったビラは全てゴミ箱に捨てることにした。
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