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君が笑う、その時まで

第12章 揺れる思い


「好きから逃げないでください」

 彼の口からこぼれた言葉が耳の奥で反響する。

 
 ばかばかしい、くだらないと一蹴したかった。
 けれども、それができない自分が確かにいた。

 言葉に導かれて、強く閉じた瞼の裏にノイズ混じりの映像が流れ出す。



 好きから逃げるな。

 

 そうだ。私はかつてこの言葉に救われ、そしてこの言葉を彼に託した。


 いま目の前にいる君に、私は――あの時なにを思った?

 何を伝えたいと思った?

 何を願った?


「…私は――」

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