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君が笑う、その時まで

第7章 屋上ランデヴー


◆◇黒子視点

 黙ってしまった彼女を見て、僕は不謹慎にも微笑ましく思いました。
 少しからかい過ぎましたね。けれども拗ねる彼女が可愛らしくて思わず意地悪をしてみたくもなるんです。


「……バスケ部の練習はどう?」

「カントクのメニューは正直きついですが、楽しいです」

 少なくともあの頃よりは、と言った直後、彼女はくすりと笑った。

「なら、いいけど」

 彼女はおもむろに体を起こし、大きく背を伸ばす。肩越しに覗く真っ直ぐな視線に心なしか僕の鼓動は速くなった。

「しっかし、相変わらずパス以外はからきしだね」

 待っていたのは、貴女の得意なしたり顔でした。
 
「いたのなら声ぐらい掛けてください。黙って帰ろうとするなんてヒドイです」

「いやぁ、練習の邪魔しちゃ悪いと思って」

 軽いノリでさらりと言うところからすると、残念ながら本心では思ってないようだ。けれどもこれが彼女のらしい姿なので何も言わないことにしましょう。

「僕としては何かしらアドバイスをもらう方が助かりますが」

「んー、アドバイスも何も……無いね」

 俄かに彼女の声の調子が下がる。それはあまりにわずかな違いしかありませんが、確実に彼女を落ち込ませてしまいました。


 やっぱりまだ立ち直れていないようですね。


「……あの頃みたいにバスケをしてはくれないんですね」
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