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君が笑う、その時まで

第3章 きっかけ


 体育館ではちょうどミニゲームが行われていた。
 私は2階へあがって様子を見ることにした。

「へぇー……」

 1年生対2年生の試合は、拮抗していた。
 たしか誠凛高校バスケットボール部は去年のI・Hで創設1年足らずで都大会予選の決勝リーグに勝ち進んだという超新星。そんな彼らに1年チームが引けを取らず食らいついているという状況だ。 

 試合を引っ張っているのは、おそらくあの赤髪の少年だ。動きにキレがあり、かつ豪快なダンクシュートを次から次へと決めている。
 
 だからこそ、彼に複数人マークに着いた時には正直勝負はついたと思っていた。現に彼の動きを封じられてからは試合の主導権は2年が握るようになり、点差も倍以上に開いた。
 

 はてさて、いったいどんな試合になるんだろうと傍観していて――驚いた。


 ちょっとしたいざこざの後、1年チームが息を返したように点を取るようになっていった。
 
 これには2年生も唖然となっている。気が付けばありもしない方向からパスが飛んできたりする。嘘のような事実を飲み込めていないようだ。

 私は「彼」を見た。
 
 透き通る淡い色の髪のように、存在感が極端に淡い特性を生かしてパスの中継役となる。それが彼のバスケだった。
 


「まったく……変わってないね、君は」
 彼を見て、自然と口角が上がった。
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