• テキストサイズ

君が笑う、その時まで

第19章 高鳴る(黄瀬視点)


 ――――――――

 緑間っち達が店を出て数分後の事だった。

伊織「――黒子。悪いけどそこどいてくれる?」

 黒子っちをどかして伊織ちゃんは通路に立った。
 肩から鞄を下げている格好からして、すぐにでも店を出る雰囲気だった。

黄「あれ?伊織ちゃんも帰るッスか?」

伊織「まあね。お腹もいっぱいになったことだし、そろそろ帰るよ」

笠「送ってやろうか?」

 伊織ちゃんに気付いた笠松さんが座敷席から声を掛ける。
 そう言いつついつの間にか帰り支度を済ませている。やっぱり一緒に帰るつもりなんスね。

 はー…俺も一緒に帰りたいッスよー。

 けれどもこの2人を目の前にすると「一緒に帰ろう!」なんて軽々しく声を掛けるのが何となくはばかられる。

 きっと俺が知らないところで2人の中は深まってるんだろう。そうでなければこんなにも傍から見ていてイイカンジな雰囲気にはならないッスからね。

 けれども俺の予想は見事に裏切られた。

伊織「今日はいいですよ。黄瀬君と帰ってあげてください」
 
 そう言って伊織ちゃんは俺の方を向いた。

伊織「じゃあね黄瀬君。試合に向けて体調管理はしっかりしておきなよ?」

 その時の表情はいつもの彼女らしく歯を見せて笑っていた。
/ 204ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp