第1章 変態はどこまでも
………よし。奴はおらんな。
「ここにおるで。大好きちゃん♪」
「ひぎゃぁああああ!!」
正面よし、左右の確認よしで私が踵を返すとそこに奴はおった。
15歳にしてど頭ピンクにしているド変態。
志摩廉造。
「れ、廉造……いつの間にっ!ちゅーかその『♪』キモイねん!」
「大好きちゃんの足が遅いんやないか?それよか今日のパンツは何いrゴフッ!」
「死にさらせボケェ!!」
へらへらと平気な顔で最低な事を口走る廉造に回し蹴りを喰らわした。
「グフッ……大好きちゃんのパンツの色はピンクのレースか……ええなぁ」
「っ!どさくさに紛れてスカートの中覗くんやない!」
蹴られながらパンツ見るとかどないやねん。変態のプロか。
「いやぁ、パンツも見れた事やし大好きちゃん一緒に帰ろうや」
「なんでド変態のアンタと一緒に帰らなあかんのや。一人で帰り」
「ええやん!どうせお隣さんなんやし」
そう、悲しい事に廉造と私の家は隣や。小さい頃から志摩と私の家は仲が良く、金造とも度々遊んでいてそこに廉造がおる事もしばしばあった。
あの頃はただ普通に遊んでたんに、いつの間にこないド変態になってしもたんや……。
って、何懐かしがってん私は!?
「とにかく!私の隣歩かんでくれる!?」
「ええやんかぁ。……こおやって歩いてると俺ら恋人同士に見えへん?」
こいつはいつも頭ん中お花畑やな!
「絶対見えへん!私が嫌がってんの分かる!?」
「怒った顔もかいらしいで!」
アカン。こいつダメや。粗大ゴミに出さんと。
そうこうしている間に私達の家に着いてしもた。それぞれお互いの家に行こうとするが私は八百造さんに会う予定がある。
「なん!?大好きちゃんやっぱ俺と一緒におりたいん!?」
「んなわけあるか!八百造さんに廉造のこの許しがたい所業を話してお灸を据えてもらわな!」
「えぇー!それは堪忍してぇなぁ!」
廉造の制止を無視し、私は志摩家の敷居を跨いで八百造さんの所に行った。