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そうして君に落ちるまで

第6章 まずは触れてから考えよう2(コムイ)









「沙優くんに嫌われたかもしれない…」

「またかよ…」



団服のメンテが終わったかコムイに確認しに行ったところ、その男は珍しく真面目な顔をしているかと思えば、俺を視認した途端にへにゃりと机に突っ伏した。


「仲直りしたんじゃなかったのかよ。今度はなんなんさ。」

「………目そらされた。」

「え?」


顔を落としたまま聞こえたその弱々しい声に思わず目を瞬く。なんさその小学生みたいな……


「なんか…よそよそしいっていうか…触ろうとしたらやんわり押し返されたし…」

「は?触ろうとした?」

「あ…」


あーーと頭を抱えるコムイはあからさまにやってしまったとでも言う様に落ち込む。

ちょっと、それ、ホント気になるからやめてくれ…ていうか


「やっぱ付き合ってるってホントなん…?」


恐る恐る聞いてみれば、こちらへ顔をチラリと向けて、はぁ〜〜〜〜と長い溜息をつく。


「付き合ってないよ……もう勘弁してそのネタ…」

「えっわり…」


なんか、ホント、ごめん。
それにしてもこんなに弱るとは。

何があったのか気になる。というか肝心の本人たちはどう思っているのかわかりにくいというか見えにくい。


お互い嫌ってる訳ではなさそうだけど…
というかむしろ、好き合っているように俺には見えた。


けど、それをここで聞くのはなんだか気が引けて。


「まー、大丈夫だって。たまたまタイミングが悪かったりしたのかもだし。考えすぎんなよー。」

「うん…ありがと…」


なんだか空気が重くて、そそくさとコムイの部屋を出る。


ってあ、やべっ。団服のこと聞くの忘れた…

かと言ってあの部屋に戻る気はしなくて、無意識に沙優を探せば、すぐにその姿は視界に入る。


「あ、沙優……」


声をかけながら挙げた手がピタリと止まった。


彼女の隣には、あまり見かけない姿があって。
そいつの視線は明らかに熱を帯びていた。



途端、胸の奥がざわっとつまる。


いや、まてまて、これは違う。



首をふるふると振って一歩足を進める。


コムイ、これはちっとやばいかもしんねーな。





談笑する2人に声をかければ、軽やかな笑顔の沙優とは対して、男はあからさまに肩を落とした。








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