第2章 虹村億泰の恋愛事情
あれから1週間。
「ぅおーい!早く帰ろうぜェ!」
億泰君に急かされながら教室を後する。
億泰君のことで、東方仗助君や広瀬康一君とも仲良くなった。
なぜなら、毎日一緒に帰るから。
でも、今日は二人とも遅くなるらしい。
久しぶりの2人だけの帰り道だ。
「オメェよォ、なんか‥最近仗助達と仲良すぎねェーか?」
おもむろに口を開くと、不満げに言った。
「そう?普通じゃないかな」
「別にあいつらに取られるとかそーゆーんじゃねェけどよォ-、なんかモヤモヤすんだよなァ」
もしかして嫉妬かな?
そういうものとは無縁だと思ってたから、億泰君には悪いけどちょっと嬉しい。
それから当たり障り無いない会話をかわして、お互いの家の近くまで来た。
そこでふと思い出したことがつぶやきになった。
「あ‥今日、親出張でいないんだった」
小さな声だったと思うが、億泰君はしっかりと聞き取っていたらしく、じゃあ、と話しだした。
「そのォー‥明日から休みだしよォ、今日泊まっていかねェか?」
「えっ‥いいの?」
一人では心細かったところだった。
「いいぜェ、来るか?」
「お邪魔しまーす」
億泰君のお父さんにはもう慣れたし、なんだか可愛くさえ見えてきていた。
手を振ったりすると振りかえしてくれる。
今日もこんにちは、と挨拶をすると、挨拶を返してくれた。
お兄さんはいつも夜遅くに帰るらしい。
そんなこんなで、億泰君の部屋で私達は仲良く話していた。