第1章 はじまり
俺が朽木を嫌いなのと同じく、この朽木の従兄弟にあたる仁之心も酷く俺を嫌っていた。朽木とは違い若さ故の血気に盛んなこの男は、俺の挑発に始めこそは黙っていたものの、最終は我慢できなくなった様で最近はこうやって横槍をいれるようになったのだ。
「だから言ってんだろテメェにゃ関係ねえって。隊長同士の話に一々茶々いれてくんじゃねーよ!」
「貴様は度が過ぎてると言ってるんだ! どこに相手の胸ぐらを付かんで話し合いをする奴がいると言うんだ!?」
「残念ながらこれが俺のやり方なんですー。一番隊じゃこれが当たり前なんだよタコ!」
「ここは六番隊だ!」
「だから何だよ!?」
なんて言う風に口喧嘩から始まり、ついに殴り合いの喧嘩になったのはつい最近の話だ。や、手加減はした。したはずだ、うん。
「何故貴様みたいな山猿が白哉様の御正室に選ばれたんだ。老十どもは何をしている」
チッと憎らしげに舌打ちされりゃ火山(短気)と呼ばれる俺だって黙ってられない。はぁ? とこれでもかって程眉根を歪める。
「俺はその話は断ったっつってんだろーが。俺だって冗談でもこいつの嫁なんざお断りだっつの。てかお前と姻戚関係になるなんて冗談じゃない」
「そんなの私だってお断りだ。山猿なんぞが我が朽木家の籍に入るなどあってなるものか」
「つかテメェ副隊長の分際で隊長に向かって山猿たぁなんだ山猿たぁ!?」
「私は一度たりとも貴様を隊長だと認めた覚えはないわ!」
どんどん加速する俺と仁之心の言い争い。
お互い負けず嫌いという似た者同士だ。どっちも退くという事を知らないから質が悪い。と、以前仲裁に入った烈っちゃんが言ってた。
「お、お二人とも……」
成す術もなくおろおろと立ち竦む三席。朽木は朽木で我関せずと黙々と書類整理を始めていた。
「お前なんか」
「貴様なんぞ」
「「大っ嫌いだ!!!」」
最後お互いにそう捨て台詞を吐いてようやっと争いは終結した━━━━。