第11章 夏と、浴衣と、猫たちの暴走。 R18
side莉奈
それは、数時間前にさかのぼる。
「美優さん、この前買った下着、つけないんですか?」
そう私が言うと美優さんは困ったように笑う。
『着けなきゃ、だめ?』
「だめです。私も恥ずかしいけど着けてるんですから。」
数日前、一緒に買い物に行った時に買ったTバック。
浴衣に下着の線が入るのが嫌だからと2人で買ったもの。
シャワーを浴びて戻ってきた美優さんはそれを身につけていなかった。
「ずるい。私履いたのに。」
そう言いながら着ていたワンピースを脱げば、美優さんは恥ずかしそうに頬を染めた。
女同士なのに照れなくても…
『わかった…ちゃんと着るから。』
美優さんはそう言うと袋に包まれた私の浴衣を取り出す。
そして、キャミソールと下着姿の私にふわりと浴衣をかけた。
『この浴衣莉奈ちゃんにぴったりだね。』
そう美優さんが言ってくれた浴衣は白地に淡い紫のラインが何本も入っていて、大ぶりのレトロなお花が所々に咲いたもの。
帯は濃いめの紫と黄色のリバーシブル。
髪飾りは着物に合わせて淡い紫の大輪の花。
ちょっとアレンジしようよ、と美優さんは、浴衣を買った時に一緒に購入した大ぶりのレースのリボンとレースの足袋型の靴下を取り出す。
リボンは髪飾りと一緒に飾り付け。
靴下はそのまま履いて、靴擦れ防止。
髪の毛のアレンジも美優さんがやってくれたけれど、大正の和と洋がうまく混じった大正レトロな雰囲気に私の表情はニンマリ。
ちなみに美優さんは濃い紺、薄い紺、白の矢絣(バ○殿の女中さんが着てるやつって言ったらわかるかな?)に赤やピンクの花が咲いているもの。
ちなみに帯はダークな赤。
髪の毛は両サイドをリボンと一緒に編み込んだあとゆるくお団子にまとめて、編み込んだリボンでうまくまとめ上げ、一粒玉のついたかんざしを挿していた。
着付けてるのを見ながら、私は元着ていた服を鞄にしまう。
美優さんの着付けが終わったのを確認すると、2人、浴衣とお揃いのカゴバッグに財布やスマホ、ハンカチを入れ、美優さんの部屋から飛び出した。