第12章 灰羽リエーフの1日 2017
PM8:33
あのあと俺たちは電車に乗り帰宅…
のはずが、乗り換えの駅が思った以上に混んでいたため、少しだけ駅前に出て時間を潰した。
駅前にあるファストファッションのお店に入ったら美優さんも俺も気にいる冬服がたくさん。
パーカーやインナースエットパンツ。
ふわもこニットにレーススカート。
そうそう。
良いデザインのレディースのタートルネックのニットがあったんだけど、試着したら俺も着れたから美優さんとお揃いで買ってきたんだ。
そのニットにあわせられそうな、可愛いデニムのタイトスカートがあったから美優さんにプレゼント。
同じ色のデニムを持っているから今度お揃いコーデするつもり。
楽しみだな。
今日買った服を整理していると、夕飯を作っていた美優さんが声をかけてきた。
『リエーフ、ご飯できたよ?』
俺は、返事をするとすぐに部屋を出た。
ーーーーーー
机の上にはうまそうな夕飯。
俺の好きなおいなりさんにカレイの煮付け、つくねに筍の煮物にお吸い物。
俺、美優さんが作る和食が好きだ。
すごく凝ってるわけじゃないけれど、でも丁寧な味付けなのが好き。
濃いわけじゃないのに食材にしっかり味がしみてたり、柔らかかったり。
時間をかけて作ってくれてるのがわかるから。
いただきます。
そう言うと俺は一目散に箸を取り、カレイを口に入れた。
じわり、出汁を吸ったカレイ。
口の中でほろほろと解けていくのがたまらない。
美味くて箸が止まらない。
『いっぱいあるからゆっくり食べて?』
煮物にも箸を伸ばす。
筍はシャキシャキだし、鶏肉は柔らかい。
人参も程よい硬さだし、こんにゃくも味がしみている。
つくねもふわふわ。お吸い物も出汁がきいてる。
そして最後はこれ。
そう、おいなりさん。
口に含めばじわり、甘く味付けされたお揚げから美味しさが滲み出てくるのがたまらなくてついつい2個目、3個目と手が伸びる。
やっぱり美優さんのご飯は美味しい。
だって、これ、全部俺のために作ってくれてるんだから。
それだけで嬉しくて、俺は目の前の料理を一つ一つ味わって食べた。