第11章 其ノ拾
大『お前は……、まだ不満か?
翔の事…』
二『いえ…… 私は…』
そっと、頬に触れて撫でる兄上の手を反射的によけるように一歩下がる。
…何でこうなってしまったんだろうか。
ずっと兄上だけだったはずなのに。
兄上も自分を思っていてくれていたはずなのに。
雅紀ともあんな関係になってしまって、雅紀にも惹かれている自分もいて…。
自分でも訳が分からないくらいになっていると、いつの間にか目の前に兄上が近づいて来ていて抱きしめられていた。
二『あ……兄上様……』
大『色々……すまない… でも…
俺は……本当に和也の事…大切に思って
いる。』
二『俺の事…… 愛して…ますか?』