• テキストサイズ

術師~Lonely assassin~【R18】

第4章 *迷い子


庭に出て、音のした方へ向かってみると予想外な事が。


『人?』



「…!!」



ふと口から漏れた声に気づいたのか、幼く見える男の子は驚いた顔でこちらを見た後逃げ出した。
慌てて私はその子を引き留めようと、男の子の背中に向かって声をかける。



『ねぇ、待って! 驚かせてごめんね、何もしないからちょっと止まってくれないかな?』



「…………。」



なるべく優しく言うと止まってくれたが、警戒してるのか睨まれてしまった。
でもこちらを向いてくれているため、「敵意は無いよ」と両手を上に挙げて微笑んでみる。



『お話、しない?』



「…………。」



『……嫌?』



「……!!」ブンブンッ



『良かった、じゃあもう少しだけ近づいても良いかな?』



「……。」コクリ



話に付き合ってくれるという彼に近づこうとした時、ぐぅ〜とお腹のなる音が聞こえすぐに彼がお腹を抑えていた。
お腹が空いたのだろうか?
思えば彼の見た目は可哀想なぐらい痩せていて、服はボロボロに髪はバサバサ。



『お腹…空いたの、かな? 何か持ってくるから、そこで待ってて(笑)』



そう言って私は男の子を残して厨房に向かった。
料理を担当している子とは自分は仲が良いため、事情を話せば何かくれるかもしれない。


そう思い厨房まで駆けて来たのだが、そこには誰もいなかった。



『誰も居ない? いつもならフラがいるのに』


買出しにでも行ったのかな、と考えながら何か無いかと探してみる。
色々ある戸を開けていくうちに一つ良いのを見つけた。



『クッキー発見!』



大皿に並べられたクッキーを少し頂き小さな袋に入れ、再び庭に戻るために駆け出す。
フラが作る物はどれもこれも、ほっぺが落ちてしまいそうなくらい美味しい、きっと喜んでくれるはずだ。
/ 36ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp