第4章 *迷い子
庭に出て、音のした方へ向かってみると予想外な事が。
『人?』
「…!!」
ふと口から漏れた声に気づいたのか、幼く見える男の子は驚いた顔でこちらを見た後逃げ出した。
慌てて私はその子を引き留めようと、男の子の背中に向かって声をかける。
『ねぇ、待って! 驚かせてごめんね、何もしないからちょっと止まってくれないかな?』
「…………。」
なるべく優しく言うと止まってくれたが、警戒してるのか睨まれてしまった。
でもこちらを向いてくれているため、「敵意は無いよ」と両手を上に挙げて微笑んでみる。
『お話、しない?』
「…………。」
『……嫌?』
「……!!」ブンブンッ
『良かった、じゃあもう少しだけ近づいても良いかな?』
「……。」コクリ
話に付き合ってくれるという彼に近づこうとした時、ぐぅ〜とお腹のなる音が聞こえすぐに彼がお腹を抑えていた。
お腹が空いたのだろうか?
思えば彼の見た目は可哀想なぐらい痩せていて、服はボロボロに髪はバサバサ。
『お腹…空いたの、かな? 何か持ってくるから、そこで待ってて(笑)』
そう言って私は男の子を残して厨房に向かった。
料理を担当している子とは自分は仲が良いため、事情を話せば何かくれるかもしれない。
そう思い厨房まで駆けて来たのだが、そこには誰もいなかった。
『誰も居ない? いつもならフラがいるのに』
買出しにでも行ったのかな、と考えながら何か無いかと探してみる。
色々ある戸を開けていくうちに一つ良いのを見つけた。
『クッキー発見!』
大皿に並べられたクッキーを少し頂き小さな袋に入れ、再び庭に戻るために駆け出す。
フラが作る物はどれもこれも、ほっぺが落ちてしまいそうなくらい美味しい、きっと喜んでくれるはずだ。