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【HQ】Egoist

第9章 彼女と最後の青城祭


「莉緒が怖がってるじゃないっスか。」


 狂犬ちゃんのその言葉に笑わずにはいられなくて、盛大に吹き出してしまった。俺が笑ったのを合図に、皆も一斉に笑い出した。すると、すぐさま岩ちゃんに横腹を蹴られた。


「なんで俺だけ!?皆笑ってんじゃん!」
「オメーの顔が一番ムカつくからだボケ。」


 いつもなら、狂犬ちゃんのそのポジションが岩ちゃんなのに。そう思うとおかしくてたまらなかった。

 「ここの皆は大丈夫だから。」

 その莉緒ちゃんの一言に狂犬ちゃんは不満そうだった。


「てか、賢太郎、青城だったんだね。なんで言わなかったの?」
「聞かれてねーし。莉緒だって青城だなんて一言も言わなかったじゃねーか。」
「まあ、そうだけどさ。」


 何やら、親しげな二人を見てるとモヤモヤした。


「何、なんでお前らそんなに仲良い訳?」
「…えっと、私が通ってるバレーサークルにたまに来てて、」


 岩ちゃんの前だからか、言いずらそうに莉緒ちゃんはマッキーの質問に答えた。けど、サークルが一緒だからって、二人共割と気難しい性格だし、すぐすぐ打ち解けるとは思えないんだけど。


「サークル、いつから行ってたんだ。」
「…夏休み前からです。」


 腕を組み、威圧的な態度で莉緒ちゃんに質問をする岩泉ちゃん。だから岩ちゃんは莉緒ちゃんのお父ちゃんですか。


「部活終わったから行ってたのか?」
「…たまに。」
「一人で夜出歩いたら危ねーだろうが!」
「まあまあ岩ちゃん落ち着いて。」
「行きも帰りも俺が一緒だから問題ねえべや。」
「はあ!?そんなの及川さん聞いてないよ!」
「は?なんでそんな事一々及川に報告しないといけないのよ!」


 ほらやっぱり言われた!言われると思ったからさっきは黙ってたのに。狂犬ちゃんが莉緒ちゃんの事送り迎えしてるとか聞いてないし。いや、それ以前に二人が仲いい事も、同じサークルだった事も知らなかったけどね!俺だって未だに部活帰りに二人で帰るってなったら嫌そうな顔されるのに!


「及川さんは莉緒ちゃんをそんな子に育てた覚えはありません!ねえ、お父さん!」
「誰がお父さんだボケ!殴るぞ!」
「岩ちゃん!殴るぞって言う前に殴らないでよ!」
「平和だな。」
「どこが!?」



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