第3章 目覚めた場所は
「大丈夫ならいいんだけどな、無理はするなよ?
……それじゃ行くか」
『はい!』
プロデュース科生徒っていうことは、やっぱり私の立ち位置って『あんず』なのかな。
……でも、あれ?さっき、『2人目のプロデュース科生徒』って言ってなかった……?
それに、もし私が『あんず』なら今は4月のはず。
それにしては、暑すぎる。
先生に見えないように、ポケットからスマホを取り出した。
よかった。入ってなかったらどうしようかと思ったけど、ちゃんと機種もカバーも私のだ。
ホームボタンを短く押して、日付を確認した。
『6月……』
日付は、さっきまで私が和美と過ごしていたものと同じだった。
ということは、やっぱり私はあんずではないんだ。
「ほら、ここだ。準備はいいか?」
『あっ、はい。大丈夫です』
そんなこんなしている間に、佐賀美先生は教室についたみたいだ。
見上げると、そこには『2ーB』の札がさげられている。
アイドル科2年B組。Trickstarの衣更 真緒、Knightsの朔間 凛月とか鳴上 嵐とかがいるクラス。
……ん?待って、トリップについてはなんとなく理解できたけど……。もしかしてこれって、そんな夢ノ咲のアイドル達とこれから毎日過ごさなくちゃいけないってこと!?
『やっばいでしょ、そりゃ……』
嬉しさと混乱と絶望と。いろいろな気持ちが入り交じった私の頬を、冷汗が伝った。