白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第6章 変わるモノ変わらないモノ変われないモノ
「遅くまで悪かったね
車で送らせるよ
では、また日曜日に」
「いえ…」
「未来の婿殿に
何かあっては困るからね」
相変わらずのペースで
俺の拒否を却下して
運転手を呼び寄せる
分不相応な車に乗り込み
あっという間に近くなった
姫凪のマンション
慌てて
姫凪に電話を掛けると
〈鉄朗!?〉
ワンコールで届いた声
大好きで堪らない声
本当ならもっともっと聞いてたい…
けど
「待たせてゴメンな
もうすぐ着くから」
申し訳なくて
心が痛くて
それ以上言えずに電話を切った
車がマンションの前に着く少し前
姫凪が外で俺を待ってるのが
目に入る
小さな身体を夜風に冷やして
不安そうに
キョロキョロ、ウロウロ
胸が締め付けられるみたいで
車が止まってから
しばらく動けなかった
「黒尾さま、着きました」
開いたドアの音に
ハッとして車を降りると
目をまん丸に見開いた
姫凪と目が合う