白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第6章 変わるモノ変わらないモノ変われないモノ
『…戻…』
”戻る”と伝えれば
すぐに車は止まって
平穏に引き返す事が出来る
わざわざ波風立てに行くのは
愚かな事だったって
笑う日常に…
でも…
『…迎えに行きたい…
外で待つだけ。
中に邪魔しに行ったりしないから
お願い…研磨くん…』
ダメだ。
止まらない…。
何の力にもなれないけど
何も出来ないなら
居ない方が良いのだろうけど
鉄朗の側に居たい…
「分かった。
車の中だったら
バレないだろうから
ホテルの近くまで行こう」
『ゴメンね…』
「別に。
おれが原因でこうなったからね
姫凪の思う通りにする」
淡々と話す研磨くんの声は
良い方向に進まない未来を
どことなく予感してるように感じた
そしてそれは
ゆっくり現実を
侵略して行く事になる…。