第6章 変わるモノ変わらないモノ変われないモノ

『…鉄朗はそれで行ったの？
行ったら…その、また強引に
話を進められて
決められるんじゃないの？』

「…分からない。
とりあえず最悪の事態を避ける為に
行ったけど…あの会長は
普通じゃないから…
あそこまでとは
思わなかった
ホント間違った…ごめん」

鉄朗に抱いてた不安な気持ちが
別の大きな不安で
上書きされていく

「…正直、姫凪が行っても
何にも変わらないと思うよ
それどころか
自分の愛娘を不幸せにする
敵キャラにもっと意地になるかも知れない
それでも…行く？」

静かな声で続けられる言葉に
鉄朗が黙って行ったことも
研磨くんがわざわざ来たことも
ゆっくり理解されていく

相手から私を守る為…だよね

なら、きっと
私は出しゃばるべきじゃない
家で大人しく信じて
待っていれば良い

鉄朗は裏切らない
ハナさんもきっと
抵抗してくれるから
纏まらないと信じて
待っているのが
一番安全…だ。