第6章 変わるモノ変わらないモノ変われないモノ

半べその運転手さんに
声を掛けると

「あー！さっきの！
スイマセン！よろしくお願いします！
これ、お釣り！」

小銭を押し付け
後部座席のドアを開く

気持ちよさそうに寝る
ハナちゃんを
とりあえず抱えて降ろし
タクシーを見送ってると

「…バカ…やろー！！」

突然起きた
腕の中のハナちゃんの
頭が顎に命中した

無防備な顎に頭
脳が揺れるヤツ…デス。
でも倒れたらハナちゃん
押し潰しちまうしと
足を踏んばってると

「結婚しようって
言ったじゃん…
バカぁ…
優しくなんかしないでよ」

ワイシャツが涙で濡れていく

そういえばハナちゃんも
失恋したって言ってたっけ

「俺をソイツと
間違って暴力とは
いい度胸してんなァ？
おら、起きなさいよ！
起きねぇと
ここに置き去りにし凍死させんぞ！」

今度は俺からゴチンと頭突きして

「それとも足腰立たなくさせて
やろっかァ？」

フーッと首筋に冷たい息を吹き掛ける