白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第5章 歪みに飲まれる愛
普通なら鳥肌が立って
気分すら悪くなる状況なのに
「髪伸びた?
相変わらず綺麗だね
アッチにあった髪留めとか
似合いそう
買ってあげようか?」
なに大人しくしてるのよ。
『お世辞、どうも。
髪留め良いですね
…じゃあ私はそっちへ移動します
ごゆっくり』
必死に素っ気ない態度で
その場を去ろうとするするけど
「そんなに避けないでよ
(キスした仲だろ?)」
耳に落とされた言葉に
身体全体が強張る
「忘れちゃった?
あんなに可愛い顔してたくせに
思い出してみるかい?」
色っぽい目つきで
私を見つめて
唇をなぞる指
必死に睨み付けてみるけど
頭の先から爪先まで
あの時に
タイムスリップしたみたいに
熱く火照ってしまう
なに、思い出してるの
…ううん、違う
忘れたフリしてただけで
『…忘れたい…のに、バカ…』
消えてなんかなかった
鉄朗にあんなに甘く激しく
愛され続けているのに
及川さんの感覚を
忘れられなかった