第1章 最年少の攻略者
数年後に七海の覇王と呼ばれる男、シンドバッドは立ち尽くしていた。新たなダンジョン攻略に挑もうとダンジョン入り口に差しかかったところだった。
目の前で、ダンジョンが消えたのだ。
さらに、ダンジョン跡に立ち尽くしていたのはマスルールと同じくらいの女の子だった。少女がゆっくりシンドバッドへ向けた目には、光はなかった。
「本当にあの子が、このダンジョンを攻略したのか…!?」
剣もなければ荷物もない。小柄で華奢な小さな普通の女の子にしか見えない、そんな子がダンジョンを攻略するなんて普通はあり得ないことだ。
「11歳で第一ダンジョンを攻略したシンドバッドよりも、王の器があるのかもしれないね」
その様子を遠隔透視魔法で見ていたマギであるユナンは呟いた。