• テキストサイズ

【DBトラ】幼馴染

第1章 前編



 ――でもやはり本人を目の前にすると、気持ちが溢れてしまって辛かった。


「ねぇ訊いてよ、トランクス君!」


 早々に復活した悟天がまた大声を上げる。


「ん?」

「ユメってば好きなやつが出来たんだって!」

「わあああぁぁ~~!!」


 慌てて大声を上げて悟天の口を塞ぐユメ。

 しかしもう遅い。

 悟天のバカ~! トランクスに言うなんて……もう最低っ!!


「ユメに……?」


 トランクスは少し驚いたふうにユメを見下ろす。


「だ、だから違うって! 勝手に変なこと広めないでよバカぁ!!」


 真っ赤な顔でユメは悟天に向けてバッグを振り回す。


「はは~! そんなんじゃ当たんないよ~♪」


 笑いながら悟天はひょいひょいと避けてしまう。


 もうホントサイアク!!

 トランクスに変な誤解されたくないのに……!

 と、


「どんなヤツ? ……同じクラスの奴か?」


後ろから、この場に似合わないマジメな声が降ってきた。


「え……?」


 ユメが振り向くと、真剣な青い瞳とかち合った。


(トランクス……?)


 その目はいつもの彼と違った。

 少し……怖い。


「あれぇ? 珍しいね、トランクス君がそんなに突っ込むなんてさ」


 その明るい声に視線が外れてホっと息をつく。


「いや、ちょっと気になって……」


 トランクスが悟天に向って言う。


「やっぱアレだね! ほら僕らにとってユメ可愛い妹みたいなもんじゃない。なんか男が出来たとか聞くとさぁ、なんつーか、娘を嫁に出す父親の心境? そんな気分だよね!」

「――だ、誰が男が出来たよ! 違うって言ってんでしょ、バカ悟天!!」


 バッグ攻撃を再開しながらも、今回ばかりはこの明るい幼なじみに感謝した。


 ――その後は、いつもと変わらない優しいトランクスで。


 ……なんだったんだろう。

 さっき、一瞬だったけど、すごく気まずかった。


/ 10ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp