君を俺だけのものにしたい【Mr.FULLSWING】
第11章 兎丸の場合
ぴん!
僕の頭はすっごくいいことをひらめいた!
「○○ちゃん、そろそろ帰らなきゃだよね?」
「あっ、そうだね。もうこんな時間。」
僕は○○ちゃんの後方の、今はだいぶ遠くなってしまった僕達のカバンを指差した。
「ねぇ、あそこまでに僕が○○ちゃんを捕まえられたら、僕にチューしてよ。」
「えええええ!?」
○○ちゃんは夕焼けより真っ赤になった。
「10秒待ってから僕が走り出すね。」
○○ちゃんはうぅーって犬みたいに唸り声をあげる。
そんな嫌そうな顔しないでよ。傷付くじゃん。
「あたしが逃げ切ったら?」
「僕がチューしてあげる。」
「変わんないじゃん!」
「どっちからするかは大きいよ?」
「でもさぁ!」
○○ちゃんはまだ何かごちゃごちゃ理屈をこねる。
「もう決まりだから。はい、よーいドン!」
「へっ?はぁ!?」
言ったもん勝ち、合図をすると○○ちゃんはカバンまで全速力で走り出した。
やっぱり素直だ、なんて僕はこっそり笑いを堪える。