• テキストサイズ

【DB未来トラ】想い

第8章 四日目の夜



「私……」


 何か、言わなきゃ……。

 でも、何て……?


「ごめん」


 そう言ったのはトランクス。


 え……?


 ユメは視線を落としたまま目を見開く。


「急にこんなこと言って。驚いたよね! ……答えは急がないから」


 その声は明るい。


「ユメが家に帰るまでに、考えておいてくれると嬉しい」


 ゆっくりと顔を上げると、トランクスの優しい笑顔があって、ユメは小さく「はい」と頷いた。





 どうしよう……。


 ユメは頭からシャワーを浴びながら、苦しい胸を押さえた。

 ザーという水音が、ぼやけて遠く聞こえる。

 ずっと、ずっと好きだったトランクスに、好きだと言われたのに、応えることができなかった。

 理由はわかっている。


 ――ユメが家に帰ったあとも、会ってもらえますか?


 そう言われた瞬間、夢から現実に引き戻された気がした。


 ……私はこの世界の人間じゃない……。


 いつまでこの世界にいられるかわからない。

 来たときと同じように、いつ、彼の前から突然消えてしまうかわからない。

 そんな自分が、彼に想いを伝えていいはずがない。

 そんな無責任なことできない。


 ……何より、自分が耐えられる自信がなかった。


「私……何でこの世界に来たの?」


 か細いその声は水音にかき消された……。


/ 98ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp