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第3章 オオサンショウウオ



しかし、わたしがお礼を言った頃から、高尾君が全く喋らなくなったので、不安を感じて隣を見てみた。

すると、高尾君の頬が、淡く赤色に染まっているのに気が付いた。

正直、少しドキッとしてしまった。

いつもなんだか嘘くさい笑顔をしている事が多い高尾君が見せる、初めての顔。
"ときめいた"というより、"驚いた"という表現の方が合うのではないだろうか。

「あの…高尾君…?顔、赤いですけど…大丈夫ですか?風邪とか…?」
「あ?え、あぁ、いやいやそんなんじゃないっつぅか…普段こんなクサイ事言わないからさぁ、なんか恥ずかしくなっちゃって」

顔が赤い事を指摘すると、高尾君は少し焦ったような笑いを浮かべてみせた。

ほんのり赤い頬に、困ったような笑いがよく似合っていた。

でもやっぱり、どこか嘘くさかった。

それでも、わたしは嬉しかった。
気を使ってくれた事。
わたしの言った事が高尾君を励ます事ができた事。
なにより、今日初めて、高尾君の素顔が少し、見れたような気がした事が、嬉しかった。



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