第3章 オオサンショウウオ
「おっはよーーーう!」
次の日、元気に教室に入ってきた香織の隣には、緑間君がいた。
「香織、緑間君と一緒に登校って…めずらしいね…」
「あぁ、うん、昨日帰ってたら偶然家近いの分かってさー!で、なんか朝会ったから、来たー」
緑間君が香織と一緒に歩いている姿が想像できない…
言ったら悪いのかもしれないけれど、緑間君と香織じゃタイプが違いすぎる…
香織はギャルだし、緑間君は正統派っていうか…
というか、話が続くのだろうか
「もーさ、緑間君すっごい面白いよ!今日大っきいアシカのぬいぐるみ持ってるじゃん?あれ何だと思う?」
「え…?な、なんだろう…」
「「今日の蟹座のラッキーアイテムなのだよ!」」
「た、高尾君!?」
ウキウキと話す香織に気を取られて、全然気が付かなかった。
いつの間にか、高尾君が香織の肩から顔を出して、香織のせりふとうまくかぶせてきた。
「うわ、びっくりしたー」
「真ちゃん面白いっしょ~!あれギャグとかじゃねーから余計面白いっつーかさぁ」
「おい!茶化すな!」
さすがの香織もびっくりしたようで、目を丸くして冷や汗をかいていた。
しかし、わいわいと騒ぐ3人の横で、イマイチ輪の中に入れないわたしがいた。
原因はもちろん、昨日の帰り道での件である。
高尾君は「ありがと」と言ってはくれたけど、やっぱり会うと恥ずかしい。
ほんとにあれは史上最大の黒歴史だと思う。あんなことを言ったなんて、自分でも信じられない。
なんて気持ちが引っかかって、ぎこちない返事を返す事しかできないわたしに、
「鶴子ちゃんさぁ、なんか顔色悪いけど大丈夫?」
と、高尾君が声をかけてくれた。
それに続いて香織が
「あ、ほんとだー。鶴子大丈夫?昨日も変だったよね?風邪?」
と言った。
風邪を引いてるわけじゃないんだけど…さすがに理由を言う事はできない。すると、
「保健室行った方がいいんじゃない?俺付き添うし」
と、高尾君が爆弾発言をした。