第2章 リトルアンダースタン
ーー放課後
キュッ
ダムダムッ
体育館に心地よくバッシュのスキール音やドリブルの音が響く。
「あの…本当にいいんですか…?迷惑じゃないんでしょうか…」
「だーいじょうぶだって!監督も大坪サンも、オッケーって言ってんだから!」
高尾君はそう言ってくれるけど、やっぱりいずらいのはいずらい。
なるべく隅っこで座って見てようと、こそこそとするわたしに対して、香織は全く気にする事なく見ている。
「うわああー!うわああああ鶴子見て見て見て!すごーい!あんな体勢からゴールするなんて!」
そうやってはしゃぐ香織に軽く注意しつつも、確かに超強豪なだけあって、初心者でも分かるくらいに凄い。
でもそんな中でも、一際目立って凄いと感じるのは、やっぱり緑間君だった。
何故かチームの練習には参加せず、ただ一人黙々とシュート練習をしているのだけど…
シュートがとにかく高いのだ。
しかもさっきから一度も外していない。
す…すごい…
さすがキセキの世代と言われるだけある。
そういえば高尾君はどこにいるんだろう…
ふと、高尾君の顔が浮かんで体育館をきょろきょろ見回すと
あ、いた。
レギュラーの練習にまじって、汗を流して力いっぱい練習している高尾君を見つけるのに、そんなに時間がかからなかったのはなんでだろうか…
パッと見には分からないけど、周りに負けないように練習している。
練習が終わった後も、高尾君は居残りで練習をしていた。
わたしは最後まで高尾君から目が離せなかった。