第13章 月夜の語り
「確かに、この国の問題はとても難しい。でも、大丈夫だよ、僕も君と一緒に考えるから! みんなで考えれば、今よりもずっといい答えが見つかるはずさ」
にっこりと笑ったアラジンは、なんだか頼もしくみえた。
まっすぐな瞳には嘘がなくて、強い意志を感じる。
不思議と信じてみたくなってしまう、この彼の力はなんなのだろう。
誰かの心を動かしてしまう力。もしかしたら、これが本当のマギの力なのだろうか。
アラジンの穏やかな笑顔に、アリババも落ち着きを取りもどしたようだった。
「怒鳴って、ごめんな……」
謝りながら、アリババが笑顔を浮かべると、アラジンも笑顔で彼に手を差しだした。
二人が握手を交わそうとした瞬間、部屋に不気味な音が響きわった。
ビキビキと大きな亀裂音が部屋に響き、突然巻き起こった爆風によって、ハイリア達は部屋の隅まで飛ばされた。
とっさに受け身を取ったハイリアが見たのは、崩壊した窓辺の壁に空いた大穴と、そこからこちらを睨む、人相の悪い男達の姿だった。
「よぉ、助けに来たぜ、相棒! 」
先頭に立つ、カシムが不敵に笑っていた。