第11章 暗闇の中で
寂しげなシンの横顔を見ていたとき、ふと、目があった。
なんとなく気まずくなって、目を逸らしたハイリアに、シンは突然、頭を下げてきた。
「ハイリア、先程はすまなかった! 」
想像していたよりも、ずっと早く謝ってきたので、ばつが悪いように感じた。
「もういいですよ、気にしてませんから……」
そう言うと、シンはやっと頭を上げた。王様に頭を下げられたなんて思うと、恐れ多くて困ってしまう。
「だが、覚えておいてくれ。俺は君の味方になれる。もしも、頼ってくれるならば、いつでも手を貸すのだからな」
真面目な顔してシンは言った。
「……わかりました。一応、考えておきます」
よくもここまで恥ずかしい台詞を言えるものだと、ハイリアは思いながら、黙っているのもなんだかきまりが悪くて適当に言った。
「さて、こっちには盗賊が来なかったってわけだ。俺たちもあちらへ向かうとするか! 」
歩き出したシンと共に、Aチームの担当であった『豪商の屋敷』に向かった。
『豪商の屋敷』に到着したハイリアが、早々に目にしたのは、焦げだらけになった無惨な屋敷の姿だった。
どうやらこちらが、盗賊が狙った場所だったようだ。しかし、屋敷内に入ると、盗賊を捕らえたような雰囲気ではなかった。
屋敷の広場に辿り着いた時、そこに気落ちしたアラジンが座り込んでいるのを見つけて、ハイリアは胸騒ぎがした。
「怪傑アリババの正体が、アラジンの友人だったんです」
ジャーファルから聞いた事実は、ひどく残酷なものだった。