第25章 緋色の夢 〔Ⅹ〕
「もう、やだ……、もう、やめ、て……」
息も絶え絶えに、ハイリアは言った。
先程からずっと、ジュダルに繰り返されている刺激におかしくなりそうだった。
随分前から頭はぼうっとしていて、時間がどれだけ経過したのかさえよくわからない。
両手を拘束されたまま、全身に舌を這わされ、指先で刺激を送られて……。
キスもなくはじめられた強制的な情事は、快楽と苦痛の繰り返しだ。
甘い刺激と、痛い刺激を交互に受けて、身体はすっかり熱を帯びている。
ハアハアと息を切らしている、淫らな姿が嫌だった。
見たくもないのに部屋にある大きな姿見の鏡が映し出す光景が、ちょうど自分の視界に入る。
彼と向き合うように裸で抱き寄せられて、膝元に座らされている姿が。
首筋から舌を這わせて下がり、胸元に顔を埋めてきたジュダルの姿が見えて、痺れ上がる感覚に身体が震えた。
胸の頂に舌先で触れられて身体がはねる。
「ふぁあ……、はっ……んぅ……あ、ああんっ……! 」
喘ぎもだえる自分の姿が鏡に映りこんでいた。
瞳を潤ませ、顔を真っ赤に染め上げた白い身体が、背中を弓なりに反らせて淫らにびくついている。
鏡から目をそむければ、すぐに自分の身体を弄ぶ彼の姿が見えてしまう。
目を合わせてもくれないジュダルに強く吸われたとたん、熱をもった身体がさらに熱くなった。
「アアッ……、だめぇえ……! 」
逃げ出したいような快楽に襲われて、身体が熱く疼き、何かがしくしくと奥から昇り上がる。
しかし、その熱い波に溺れる寸前で、ジュダルが甘い刺激をやめて噛みついてきた。
「痛っ……! 」
目が覚めるような痛みに、疼いていた感覚が止まる。
強く噛みながら胸元を登られて、目に涙が滲んだ。
痛くて息が絶え絶えになる。
「いったぁ……、ああっ、もう……、いやぁ……! 」
止まない鋭い痛みに身体が震えた。
噛みつかれた肩には、はっきりと彼の歯型が残り、その一部は薄く青みがかって赤が滲んでいる。
痛みに耐える中、首筋を急に柔く噛まれてビクンッと身体が跳ねた。