第24章 緋色の夢 〔Ⅸ〕
『なぁ、婆さん……、魔法っていうのは俺にはよくわからんが、ハイリアの乱れちまう力を抑える方法なら、あるかもしれねぇーぞ』
『力を抑える方法があるじゃと? 』
『ああ、魔法っていうのも、結局はマゴイの一部なんだろう? だったら、そのマゴイの元となる乱れを制御しちまえばいいんじゃねぇーか? 』
『マゴイの元となる乱れを制御するじゃと!? そんな方法が……まさか、おまえさん……! 』
ムトは頷き、真面目な顔で老婆を見た。
『ああ、そうだ。マゴイ操作さ。マゴイ操作っていうのは、体内に宿る「気」の流れを感じ取り、自在にマゴイを増減させてコントロールする技だ。つまりは、マゴイを制御しているんだ。
魔法は、体内のマゴイを変換させたものだと聞いたことがある。同じマゴイなら、方法がどうであれ、体内の魔力をコントロールするという点では同じだろう。
だったら、マゴイ操作でマゴイの調整をつけてやることで、ハイリアの乱れた魔法は治まるんじゃないかと思ってな……』
『マゴイ操作で、魔法が制御できるっていうのかい?! 』
『わからねぇーさ。魔法をマゴイ操作で抑えるなんて、誰もやったことがないだろうしな。どこまで整うかは未知数だが……。
けれど、やってみる価値はあると思うぜ? どうする婆さん、ハイリアにマゴイ操作を教えてみるか? 』
ムトの言葉に、老婆はしばらく呆然としていた。
突然、この男の馬鹿げた発想を聞かされちゃ、驚くのも当然だろう。
『……そりゃあ、おまえさんの言う通り、この子の魔法の乱れが整うというのなら、やらせてあげたいわい。これ以上、寂しそうなハイリアを見たくはないからのう。
しかしマゴイ操作というのは、こんな幼子が覚えられるものなのかい? 』
戸惑いながらも老婆は言う。