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【マギ*】 暁の月桂

第23章 緋色の夢 〔Ⅷ〕



── どうしよう、どうしよう、どうしよう……!

恐ろしさに身を縮めたその時、マゴイが揺すり動かされる感覚がして、青いものが視界を遮った。

『だから言ったではありませんか! 危険だと! 』

苛立つアイムの声が聞こえ、獣のような巨大な手が身体を掴むように包み、勢いよく身体が後ろに投げ出された。

瞬時に、八芒星が描かれた床上にたどり着く。

巨大な手は消え、金属器に金色の瞳が浮かんでいた。

『何をぼさっとしているのです! 早く! 』

「でも、ルフが……! 」

『いいから、マゴイを! 』

閉ざされた扉の奥から急激に迫る気配を感じ取って、ハイリアは言われるがままマゴイを八芒星に向けて放った。

とたんに八芒星の魔法陣が光り出し、反転するがごとく黒から白へ部屋が一変する。

真っ白な部屋にたどり着き、ハイリアは呆然と周囲を見渡した。

辺りにはもう人の気配はない。殺気も感じない。

厳かな雰囲気をもつ白い広間の八芒星の上に、一人座り込んでいた。

── 戻って、きた……?

『何をしているのです! 追手が来ます! 』

アイムに叱咤されて、ハイリアは慌てて立ち上がった。

震える足に力を入れて、真っ白な石造りの扉に駆け寄って扉を押してみたが、やはり黒ルフを持たない状態では開かない。

「アイム、やっぱり無理よ! 」

『マゴイを! あなたなら通れます! 』

アイムが叫び、困惑しながら手にマゴイを宿して扉を押すと、なぜか重かったはずの扉が簡単に開いていった。

── どうして!? なんで、私のマゴイで……!?
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