第22章 緋色の夢 〔Ⅶ〕
ぼうっとする意識の中、ジュダルの腕に抱き寄せられた。
熱く火照りきった身体は、すっかり力が抜けてしまって、ほとんどされるがままに彼の身体に寄りかかる。
にんまりと笑うジュダルに顔を覗きこまれて、恥ずかしくなった。
「すっげーよかったぜ、ハイリア」
そう言って軽くキスされて、さらに頬が熱くなる。
こんな恰好をしているのに、ぎゅっと強く抱き寄せてきたから戸惑った。
それなのに、ジュダルに包まれていると、なんだか安心した。
汗ばんだ肌も、熱い体温も、速い鼓動も、情事のあとを物語っていて恥ずかしいのに、温もりが心地よくて不思議な気分になる。
こんなに乱されて、意地悪もされたのに、やっぱり彼のことが好きなのだと自覚せずにはいいられなかった。
じっと見つめた先で、やわらかに微笑まれてドキリとする。
「ちゃんと俺の側にいろよな。勝手にいなくなったりしたら承知しねーぞ」
ジュダルの声が、胸に深く響いて突き刺さり、切なくなった。
熱いものがこみ上げてくるのを感じて、答えるように彼の背中に腕を回すと、ハイリアはぎゅっとジュダルを抱きしめた。
彼の温もりを抱き込み、目を閉じる。
髪に触れてきたジュダルの大きな手に頭を撫でられたとたん、頬を一筋の涙が伝っていく感触がして、彼に気づかれないように、まだ熱い肌で静かに拭い去った。