第6章 錆びた扉の桃源郷 ※R15くらい
「もう大丈夫だよ。君を襲った糞野郎は、ホラ」
と指さす先には拳ほどの珠が転がっている。
「あの中に閉じ込めといたから」
濁った珠の中に、圧縮されまくった蟷螂の姿が見える
「うーんと、まぁ僕の技、みたいなもんかな。殺しはしないけど、危ないからしばらくそうやって封印しとこうと思ってね。それよりさ、早くここから出よう?恐かったでしょ?」
私の手を取り立ち上がらせようとした白澤様は、私の全身を見やると
「唉呀、服ボロボロだね、ホントに僕って、間に合ったの?なんかあちこち赤いし。」
「かなり、あぶなかったです。」
「それ、もし大丈夫なら後で何されたか話して。今はとりあえずこれ着てね」
そう言って白澤様は優しく微笑み、自分の白衣を脱ぐと私の肩にかけてくれた。
ふわりと薬のような香りがする。