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[名探偵コナン]マティーニにお砂糖を

第43章 長い夜/S様へ


「落ち着きやしたか?」
ホットミルクを入れてくれたウォッカに礼を言ってカップに口をつける。
少し顔の火照りは残るものの、気持ちは幾分か落ち着いた。
「いくつか聞きたいことがあるんだけどいい?」
どうぞ、とベルモットに促されて先を続ける。

「あの、若い…よね?」
ジンとベルモットを交互に指さす。
服装や髪型こそ私の知っている彼らだが、明らかに顔立ちが若い。
幼い、とまでは行かないものの年の頃は高校生くらいだろうか。
「あの薬よ。一か八かの賭けだったんだけどね。」
笑いを噛み殺したような声で答えてくれたベルモットに首を傾げると、だって他にもっと聞くことあるじゃない?と声をあげて笑われた。
つまり2人はホテルのあの状況から逃れるためにAPTX4869を飲んだのだ。死ぬかもしれなかったのに身体が縮む可能性に賭けて。



「で、どうして3人はここにいるの?」
「どうしてって…。」
「この状況で自宅に帰れるわけねぇだろうが。」
「あのホテルからはここが割と近かったもんで…。」
全員から、どうしてそんなことを聞くんだ?とでも言いたげな顔をされて私は頭を抱えた。

「ごめん、じゃあ質問を変える。3人とも爆発で死んだんじゃなかったの?」
今度はジンに鼻で笑われた。
「そう簡単にくたばると思うか?」
「フリですよ、フリ。死んだと警察に思わせておけばそれ以上探しにくることもないでしょう。」
「でも、警察は3名の遺体があったって…。」
「捜索願が出ねえような身元の奴らから体格が似たのを探すのは骨が折れたぜ。」
ニヤリと笑うジンに薄っすらと背筋が寒くなった。
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